とある風俗嬢が引退し母になったその後の話

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水着おしり
その女性は、若いころに風俗の仕事をしていました。

仮に名前をAさんとします。Aさんが働いていたのは店舗型のファッションヘルス。

当時はまだデリヘルよりも店舗型のヘルスが主流でした。

風俗の仕事との出会いは突然に

Aさんは地元の短大を出たものの、どうしても夢を捨てきれずに、デザインの専門学校に入って学びなおしていました。

親には無理を言って専門学校の学費を工面してもらいました。だから生活費は自分で稼がなければならなかった。

昼間は学校で学び、夕方から夜にかけてファミレスでアルバイトをしていましたが、時給は安く、また体力的にもしんどい日々でした。

そんなある日、専門の友達(Bさん)が風俗で働いていることを知ったのです。

Aさんにとって、それまで「風俗という仕事」は自分とまったく関わりのないものでした。

Aさんは、恋愛経験は人並みにあり、中学時代から彼氏もいたりいなかったりで、セックスの知識や関心もそれなり。

でも性を仕事にするなんて、1ミリも想像できないほどのことだったのです。そんな仕事を、友達がやってるなんて…

Aさんは、「うわさで聞いたんだけどさ…」と、すこし遠慮がちに、でも内心ドキドキしながら、Bさんに風俗のことを尋ねました。

Bさんはあっけらかんと、やってるやってる、Aさんもやってみる?もうかるよ!と笑ったのでした。

その笑顔も、Aさんにとって想定外のものでした。だって風俗の仕事のこと、たぶんないしょ話のように、こそこそ教えてくれるだろうと思っていたから。

逆に言えば、Bさんの笑顔こそが、その後のAさんの行動に影響を与えたのかもしれませんでした。

風俗の仕事は天職かもしれなかった

最初はためらいがあったものの、やはりお金のこともあって、AさんはBさんのお店に体験入店することになりました。

(このあたり、Aさんの風俗へのハードルは、そんなに高くなかったと思えます)

(この時点で、体入とはいえお店に出られるひとは、もうスタートを切っているのだから)

体入で一通りのことをやってみて、その日のうちに実際のお客さんにつきました。お店が指定してくれたのがやさしいお客さんだったこともあり、驚くほどスムーズに初日が終わりました。

結局2人のお客さんにつき、仕事が終わると、Aさんの手に現金2万円ほどが渡されました。

ほんの2時間ほどで、いつものバイトの時給換算で10倍以上のお金がもらえた計算です。これに指名料やオプション料、お客さんの数も増えれば、もっとたくさんのお金がもらえることは明らかでした。

そうやって、Aさんは風俗の仕事をはじめました。

最初はファミレスのバイトと掛け持ちで、週に2回ほどヘルスをすることに。

顔出しはしていませんでしたが、一生懸命な接客が好評だったり、もともとが頑張り屋の性格もあって、Aさんの人気はどんどん上がっていきました。

そのお店のTOPになるころには、ファミレスのバイトはやめて、ヘルス一本になっていました。

そして、専門学校もだんだんと休みがちになっていました。

風俗嬢として変わっていく日常

学校が終わって夜にヘルスを頑張ると、次の日がけっこうつらく、ついだらだらと昼過ぎまで寝てしまう。

これじゃダメだな、親に申し訳ないよ、そう思いつつも、お金に余裕ができたことでなんとなく全能感を抱いていたのも確かでした。

授業に行かないのはダメだけど、お金は稼いでるし、まあいいかな…

デザインの仕事はあこがれだけど、今はとりあえず風俗を頑張ってお金をためて、そのうち余裕をもって好きなことをやろう…

そんな考えへと流れていくのは、Aさんに限らず、自然なことだったのかもしれません。

やがてしばらくして、気がつくと、友達のBさんはお店をやめていました。学校で彼女に会うと、広告の制作会社に就職が決まったと言っていました。

ヘルスが忙しく学校を休みがちだったAさんも、どうにか卒業できました。でも就職先は見つかりませんでした。というより、風俗をもうすこし続けることに心が傾いていたのです。

貯金通帳の額は、どんどん増えていきました。そのことが、今の自分を正当化できる理由でした。

お金に余裕ができたので、海外のデザイン専門書や作品集など、高価な書籍を買いまくりました。おしゃれなデザイン小物も、簡単に買えるようになりました。専門に通っていたころにはほしくても買えなかったものたち。

デザインの日常から離れてしまったけれど、かろうじて自分はまだデザイナーに向き合っているんだ。そんな気持ちを形にするには、高価な買い物くらいしか彼女には考えられなかったのです。

憧れが遠くなるにつれ、風俗嬢としての人気は上がりつづけました。風俗一本の生活になったこともあり、嫌なことがあっても頑張りました。

出勤日はすぐに予約でいっぱいになり、中には週3〜4回で通いつめる太客のリピーターも出てきました。

風俗誌の取材オファーもくるようになりましたが、Aさんは顔出しだけはどうしても断ってきました。

お店のホームページでも顔のわからない画像だけをアップしていました。そこだけは、彼女なりの一線だったのです。

当時は、現在ほどSNSがはやっていなかったこともあり、Aさんのことは「知る人ぞ知る」存在にとどまっていました。

だからこそ余計に、ミステリアスな風俗嬢としての株も高止まりしていました。

風俗の仕事を辞めるとき

もともと、お金はほしかったものの、何か強い決意があったわけではなく、風俗をつづけてきたAさん。

思わず人気者になってしまい、お店もとてもいい対応をしてくれたり、お客さんに恵まれたこともあって、大きなトラブルもなく過ごしてきました。

もちろん、いいお客さんもいれば、とても苦手なお客さんもいっぱいいました。待機部屋で一人泣いてしまったことも、何十回もありました。

それでも続けていた理由は、Aさん本人にも、本当のところはわからなかったと言います。

ある程度お金は貯まり、もう生活のために苦労しなくてもいいくらいにはなれました。

風俗嬢にありがちな、大金を手にしての浪費癖にハマったりすることもありませんでした。ブランドものにはそれほど興味はなかったし(お客さんのプレゼントで事足りるほど)、たまに衝動買いするのもデザイン関係の本や資料くらいでした。

ぼんやりと、実は自分は好き者なんだろうな、と思ったりもしました。

男性の性器にふれるのに嫌悪感は最初からありませんでした。痛いことをされるのは嫌でしたが、気持ち良くしてくれる行為は、たとえそれが知らないお客さんであっても、まあ許せる感じでした。そのあたりが、風俗を仕事にできるボーダーなのかもしれません。

ともかく、そんなふうに、なんとなく人気者の風俗嬢として日々を過ごしていたのです。

(そうして、何年かが過ぎ…)

Aさんが風俗をやめようと決めたのは、子供ができたからでした。

相手は、おつきあいしていた彼氏。一緒に暮らしていたわけではありませんでしたが、お互いの部屋を通いあう関係でした。

Aさんは自分の風俗の仕事のことを、彼氏とつきあいはじめる前にカミングアウトしていました。あとになってこじれるのが嫌だったから。

彼自身は、いろいろと悩んだりもしたものの、そんな彼女を受け入れてくれました。

Aさんは、お客さんと本番行為はしないと強く心に誓っていたので(相当、強い意志があったと思われます)、妊娠はAさんたちにとってうれしい出来事でした。

Aさん自身、仕事としての風俗には大きな不満もなかったものの、ずっと続けていくことはできないと感じていました。

引くタイミングを探していたとも言えるときに、思わぬ妊娠となったのです。

それからAさんは風俗をやめ、彼氏と入籍。数ヶ月して無事子供も生まれました。

家族3人で暮らせる分譲マンションを購入し、Aさんは子育てと家事にがんばる毎日となりました。

籍を入れ、部屋を引っ越すとき、本棚や机の上で何十冊も積み重なっていた(そして結局、あまり読むこともなかった)デザインの本は、すべて処分しました。

デザインは好きだけど、今はそれよりも他に頑張らなきゃいけないことがある、と思ったからでした。

また時間に余裕ができたら、ゆっくり勉強しよう…そう思いながら、でも少しだけ心がチクチク痛みつつ、本を整理したのでした。

戻りたい場所

子育てや、夫婦生活に、いろいろな苦労やトラブルはあったものの、なんとか乗り越え、それなりの幸せも感じながら、Aさんの時間は過ぎていきました。

やがて子供に手がかからなくなり、夫婦の関係もいい意味で距離感ができてきて、Aさん自身の心にも少しずつ余裕が出てきました。

そして今、Aさんは、ふたたび風俗の仕事をしています。

人妻専門のデリヘルへ、こっそりと舞い戻ってきたのです。

デリヘルはフル出勤ではなく、ゆるめのスケジュールにしてもらっています。

それから、出会い系を利用して新しい出会いもはじめました。

風俗はお客さん(相手)を選べませんが、出会い系では自分の好きな相手に会えるからです。

仕事である風俗と、趣味?ともいえる出会い。どちらも刺激や喜びがあり、バランスよく楽しめればいいなと、彼女は思っています。とにかく今は、めいっぱい自分のやりたいことをやろうと、心に決めたのでした。

心に余裕ができたとき、好きだったデザインの世界に戻ることは、ありませんでした。

家族との平凡だけど幸せな時間に満足するだけでは、飽きたりませんでした。

若いころに、ヘルスの狭い室内で過ごした、濃密で刺激的な日々こそが、Aさんが戻りたいと思った場所だったのです。

人の心はうつろい、変わるもの。

もう、若い頃のように絶大な人気は望むべくもありませんが、歳をとっても同世代の女性よりはるかに魅力的な容姿は変わらず。

何よりお金に困っているわけではないので、本心から風俗を楽しめるところが、あの頃と一番ちがいます。

昔のヘルスのことは、すべて夫に話していましたが、今のデリヘルのことは家族には秘密にしています。おだやかな家庭は守るべきものだから。

金銭的な困りごとや、やむにやまれぬ事情で、風俗に身を置く女性がいることは、Aさんも数多く見てきました。

そんな中で、自分自身の楽しみのためだけに風俗に没頭できることは、まるで奇跡のようだと、Aさんは思っています。

風俗の仕事にはリスクもつきまといますが、キャリアを重ねた彼女にとって、ある程度のリスクは避けられるのかもしれません。

当然、誰にでもあてはまることではありません。ただ彼女のような生き方もあるのでしょう。

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